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退職代行の「非弁行為」とは何か
退職代行を調べると「非弁行為」「違法」という言葉が出てきます。2026年には逮捕の報道もありました。使おうとしている側からすると、不安になる話です。
先に結論
利用した人が罪に問われる話ではありません。 問題になるのは事業者側の運営のしかたです。
ただし、利用する側にも影響はあります。適法にできる範囲を超えたサービスは、途中で止まる可能性があるということです。だから「誰が運営しているか」を見る必要があります。
非弁行為とは
弁護士法は、弁護士でない人が報酬を得る目的で法律事務を扱うことを禁じています。これが一般に「非弁行為」と呼ばれるものです。
退職代行でいえば、次のようなものが法律事務にあたります。
- 有給の日数について会社と交渉する
- 未払いの残業代を請求する
- 退職日を会社と調整する
- 損害賠償の主張に反論する
「退職します」と伝えることは、これに含まれません。 だから民間業者でも退職の意思を伝えることはできます。伝達と交渉の間に線があり、その線が法律で引かれている、ということです。
労働組合が交渉できるのは、労働組合法で団体交渉の権利が認められているからです。弁護士とは別の根拠で、交渉する立場が認められています。
「非弁提携」はまた別の話
もう一つ、非弁提携という論点があります。弁護士でない事業者と弁護士が結びついて、依頼者の紹介と報酬のやり取りをすることを指します。
紹介料を取って依頼者を弁護士へ送る、という形が問題になります。
実際に何が起きたか
報道されている事実を時系列で並べます。
| 時期 | 報道されている内容 |
|---|---|
| 2025年10月22日 | 退職代行「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス(横浜市)が、弁護士法違反の疑いで警視庁の家宅捜索を受けた |
| 2026年2月3日 | 同社の代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕されたと報じられた。報酬を得る目的で依頼者を特定の弁護士に紹介し、紹介料を受け取っていた「非弁提携」の疑い |
| 2026年4月23日 | 同社が代表者を刷新し、新体制での営業再開を発表 |
逮捕は有罪の確定ではありません。 捜査の段階であり、事実関係は司法の場で判断されます。ここに書いたのは、報じられている内容とその時期です。
使う側が受ける影響
利用者が処罰される話ではありませんが、実務上こういうことは起こりえます。
- 依頼した事業者が営業を止めると、手続きが途中で宙に浮く
- 「交渉できる」と説明されて頼んだのに、実際には交渉できない立場だった
- 弁護士に引き継ぐと言われたが、その紹介の形自体が問題になっていた
避けるには、申し込む前に2つ確認すれば足ります。
確認するのはこの2つ
1. 誰が運営しているか
弁護士法人か、労働組合か、それ以外か。労働組合なら、組合の名称が書かれているか。運営元の法人格を公式サイトに書いていない事業者もあります。書いていないこと自体が判断材料です。
2. どこまでやると書いているか
「交渉します」と書いてあるか、「退職の意思を伝えます」と書いてあるか。ここが曖昧なまま、有給や未払いの話を期待して頼むと食い違います。
注意が必要なのは、労働組合として運営していても「交渉には応じておりません」と明記しているサービスがあることです。種類だけでは決まりません。
掲載しているサービスの運営形態と交渉範囲は、公式サイトの表記のまま並べています。
掲載している各サービスの運営元と、公式サイトに何と書いてあるかはサービス一覧にまとめています。運営元を書いていない事業者がいることも、そこで分かります。
退職代行そのものが違法になったわけではありません
念のため書いておくと、退職の意思を代わりに伝えるサービス自体が禁じられたわけではありません。争点は「法律事務にあたることを、それができない立場の人がやっていたか」です。
線の内側で運営しているサービスは、これまでどおり使えます。
出典:東京商工リサーチ「『モームリ』代表が逮捕、変わる『退職代行』への視線」/ベンナビ労働問題「【弁護士解説】『退職代行モームリ』に何が起きた?」/東京労働経済組合 プレスリリース(2026年2月3日)
誰が運営しているかで、法律上できることが変わります。